どんな時に読みたいか
- じぶんがやるべきことについて迷ったら読みたい本
この本のパンチライン
誰だってそう多くのことはできません。日本全体のために良いことをしようと考えてもそんなに簡単にはできない 人を助ける場合でも十人くらいは助けられるけれど、それ以上は難しい。 でも一人が十人くらい助ければ、自分の周囲だけでもというふうにすれば、そういう人が増えればいいのだと思います。
問い
「正義」とは何か?
主な内容
正義とは
- あんぱんまんに込めた、やなせたかしが考える正義
- 「餓えた子どもを助けることが一番大事」
- 本当の正義とは、決してかっこいいものではなく、必ず自分も深く傷つく。そういう捨て身、献身の心無くして正義は行えない
- 私たちが本当に困っていることは、物価高、公害、飢えといったもの
- 正義の超人はそのためにこそ戦わなければならない
- 地震で家の下敷きになっているときに、百万円あげますと言われても何も嬉しくない
- 初期のあんぱんまん(絵本のとき)
- やけこげた、ボロボロの焦げ茶色のマントを着て、ひっそりと、はずかしそうに登場する
- 戦後アメリカで出てきた、スーパーマン、スパイダーマン、その他のヒーロー
- 正義の味方だといってどんどん人気がでた
- しかし、飢えた人を助けに行くことは全然やらない
- 必ず敵対する悪い奴がいて、それをやっつけようと正義が勝ったということになる
- スーパーマンは派手派手しい服を着てNYを飛び回る
- 餓えた子どもには何もやらないで、自分ことだけアピールするコマーシャルみたいだと思った(やなせたかし曰く)
なぜやなせたかしは上記のような考えになったか?
- 戦争を経験しているから
- 「野戦銃砲隊」として実際に戦地に出向いていた
- 重労働や、辛い訓練には耐えられるが、食べるものがないことだけは耐えられなかった
- 追い詰められれば人間でもなんでも食べたくなる
- 現代は。。。
- 現代も、いろいろな国にストリートチルドレンや餓え死にしている子どもたちがたくさんいる
- 戦争をしている国同士は、両方正義だ、悪い奴をやっつけると正義が勝ったのだ!と言って戦っているが、子どもたちのことは見てやらず次々に死んでいく
- だから、やなせたかしは何かをするとしたら「まず餓えた子どもを助けることが大事だ」と思った
- ここから、あんぱんまんが生まれた
戦争で感じた、もう一つの大事なこと
- 正義のための戦いなんてどこにもない ということ
- 正義とはあやふやなものであり、ある日突然逆転する
- 逆転しない正義は献身と愛
- 例えば、もしも目の前で餓えていく人がいれば一切れのパンを差し出すこと
- 戦争には、両方とも光と影があって、絶対的な悪があるのではない
- 相手をやっつければいいとか、そんな簡単なものではない
なぜ、ばいきんまんをつくったのか?
- あんぱんまんは食品 → 食品の敵はばい菌
- 現実の世界でも、ばい菌にやられると病気になってしまうので、排除しないといけないが、相手を殺してしまう必要はない
- あんぱんまんとばいきんまんは、いつもお互い手加減し合っている
- ばい菌は、人類最大の敵だが。。。
- ①どれだけワクチンをつくっても、抗体ができる永遠の繰り返し
- ②菌は菌でも、有用な善玉菌もたくさんある
- これらがバランス良く成り立っているのが、健康な社会である
- ばい菌が絶滅すると、人類も絶滅する
- 耐えず両方が拮抗しているというのが健康
- 必要悪 = 光がなければ影もないし、影がなければ光もない
- 全部善良な人は気持ち悪いし、完全な悪人はいない
- 戦争も、チャンバラくらいで辞めておかないと、原爆は絶対ダメ。人類が滅んでしまう
正義の戦い方
- 「正義は勝ったと言っていばっているやつは嘘くさいんです」
- あんぱんまん
- 自分の顔を食べさせるのだから、自己犠牲でもある
- 正義を行う場合には、本人も傷つくということを覚悟しないといけない
- アンパンマンマーチ
- やなせたかしの人生のテーマソング。みんなが楽しんで喜んでくれるのが一番嬉しい
- 「なんのために生まれて なにをして生きるのか」
- 自分の才能というのは、いろいろやってるうちに、ヒュっとこれかなあというのが分かるもの
- 自分は何なのか?天職としてやっていくというのは何なのか?ということはとても分かりにくい
- やなせたかし曰く
- 虚仮の一念
- とにかくやり続ける ※器用で最初からできる人は後からダメになる人が多いです
ぼくは天才ではありません。今いるマンガ家やイラストレーターの中で一番才能がないんじゃないかと思う。 他の人の絵を見てみんな上手だなあと感心するばかりで、一番だめなんだよね。 絵の成績でも、展覧会でも一番になったことはない。 学校に入ってもいつもダメ。 マンガの世界に入ってもみんなうまくて、本当にダメ
ぼくが考える未来のこと
- 正義と悪の戦いなんて言わないで、本当はみんな戦わずに仲良くしていればいいんだけど、世の中はなかなかそうもいかない
- 誰にだって良心と悪心がある
- いつもは良心が悪心を抑制しているが、そのバランスが崩れて悪の方が強くなると悪い奴になる
- でもある部分で抑制しないとめちゃくちゃになって迷惑がかかるというので抑制している
- そうやって世界は維持されている
- 一つはっきり言えるのは、戦争は良くないということ
- 国民を統一していくには、戦争をするのが便利という時もある
- 仮想敵をつくっていく方が、正義として国民の心を一つにまとめることができるので、政府は自分も悪い奴なんだけど、相手が悪いということは一つ政策
- 戦争は国家の意思でやるものだが、その中に国民が巻き込まれている
- 国家と殺人は全然違う
- 現在世の中で良くない事件がたくさん起こる一つの原因には、マスメディアに責任があると思う
- アメリカの学校内で銃乱射があった(コロンバイン高校銃乱射事件)
- 犯人はヒーローになりきり、ストーリーに入り込んでいるようにみえた
- 自分は自分の範囲内でやるしかない
- そういう人間が少しでも増えていけばいい。世の中には悪もある。悪の部分が少しなくなればいい。
誰だってそう多くのことはできません。日本全体のために良いことをしようと考えてもそんなに簡単にはできない 人を助ける場合でも十人くらいは助けられるけれど、それ以上は難しい。 でも一人が十人くらい助ければ、自分の周囲だけでもというふうにすれば、そういう人が増えればいいのだと思います。
おまけ:アンパンマンのキャラクターたち
- ばいきんまんが好き、メロンパンナが好き、ドキンちゃんが好き、など色々あるが
- これらは、アンパンマンと対比して好きということ
- アンパンマンは太陽のような存在で、他のキャラはそれに照らされている
- 一番光を受けているのはばいきんまん